2009年03月20日

35 フレーム(算数篇5‐3:繰り上がりの訓練)

 転載のつづきです。
 
.....................................

  「繰り上がりのある足し算」の訓練のBです。


 <B> 足すと11以上になるケースの訓練です。

 11以上になるのは、次の20通りの組み合わせだけです。 

   2, 9
   3, 8   3,9
   4, 7   4, 8   4, 9
   5, 6   5, 7   5, 8   5, 9
   6, 6   6, 7   6, 8   6, 9
   7, 7、 7, 8   7, 9
   8, 8   8, 9
   9, 9

 (1) 1円玉と10円玉での理屈の理解
 
 2+9と9+2は、組み合わせが同じです。<A>段階での出来しだいで、どちらかを先にします(出来がもう一歩なら、9+2 が先)。

 9+2は、9+1で十円玉1個になる訓練ができているから、9+1+1にしてしまえばいいわけです。

 新月新月新月新月新月新月新月新月新月  新月新月
    
 新月新月新月新月新月新月新月新月新月新月 新月

 すると、ネット新月 になり、表記すると11です。

 これで、理屈は完了です。

 すぐに、9+3、9+4、とつづけますが、9+5あたりからは、答えを予測させながら進みます。1円玉5個から4個を残して1個を動かし、9個のほうといっしょにすればネットになり、結局ネット新月新月新月新月で14、という予測はそれほどむずかしくはありません。
 
 予測が正解なら、子どもにコインを使って証明させます。証明できると、子どもは喜びますよ(予測が不正解なら、親がコインで説明します)。


 次の8+3からも予測させながら進みます。
 
 

 「足してちょうど10になる」場合と異なるのは、二点。

 1.答えが、最小11、最大18といろいろなケースがある点。
 2.答えが同じになる組み合わせが次の通りにいろいろとある点。

 答え11: 2+9(9+2) 3+8(8+3)
       4+7(7+4) 5+6(6+5) 計4通り
   12:  3+9(9+3) 4+8(8+4)
       5+7(7+5) 6+6  計4通り
   13:  4+9(9+4) 5+8(8+5)
       6+7(7+6) 計3通り
   14:  5+9(9+5) 6+8(8+6)
       7+7  計3通り
   15:  6+9(9+6) 7+8(8+7) 計2通り
   16:  7+9(9+7) 8+8  計2通り
   17:  8+9(9+8) 1通り
   18:  9+9  1通り

 数の順序も考慮すると、どうなるか?

 11: 8通り
 12: 7通り
 13: 6通り
 14: 5通り
 15: 4通り
 16: 3通り
 17: 2通り
 18: 1通り

 足し算のケースによって、こういうちがいがあるのです。


 したがって、予測させながら一巡したら、上の「数の順序も考慮したケース」をまとめて示す必要があります(学校では、意外にも、あまりなされていないようです)。
 ザーッと一巡すると、答えが同じケースがいくつも出てきますから、子どもの頭はごちゃごちゃになります。数学の世界がごちゃごちゃしてはいけません。必ず整理をつけてやることです。

 その整理は、ノートまたはその程度の大きさの紙に、一覧表を作って見せる、という方法でやります。たとえば、次のように。


 11になる足し算(縦書きのほうが、位取りが明確でいいでしょう)。
 
   2   3   4   5   6   7   8   9
 +9 +8 +7 +6 +5 +4 +3 +2
  11  11  11  11  11  11  11  11


 12になる足し算

  以下 略


 (2) 数字を見て即答(暗算)
 
 20通りの組み合わせの計40の数字を<A>のときと同じようにカードに書きます。ただ、2と3が少ないので、それだけはそれぞれ3枚は用意します。

 まずは、上の組み合わせの順に、2を見せて次に9を見せ、答えを言わせます。3と8、4と7、・・・、4と8、5と7、・・・と順に進み、最終的に、9と9で終わり。

 次は、カードを切って、裏にして山積みにし、ランダムに一枚次いで二枚目を開き、答えを言わせます。
 9や8が多いので、何度も出てきます。また、ノートなどに示した一覧表では、たとえば6+7は一度きりですが、ランダムだから、数回出てくる可能性があります。
 
 子どもがよくまちがうケースがあったら、それを重点的にやらせますが、一つ注意することがありますよ。

 まちがえやすいケースと正答になりやすいケースを親はよくおぼえておき、正答になりやすいケース8割、まちがえやすいケース2割の割合で、上と同じようにして問題を出します。

 一般に、練習問題というのは80点はとれるように仕組むものです。まちがいが相次ぐと、達成感がなく、ヤル気をなくしますよ(このブログの「ヤル気」の記事を参照ください)。


 (3) トランプ遊び

 三人でもいいのですが、二人のほうがやりやすいですね。

 1から9までのトランプをよく切って、裏返しで山積みします。
 それを中央に置いて、一人ずつ各一枚を開いて、自分のところに置きます。
 次に二枚目も同じようにして開きます。
 二枚の合計数の多いほうが、開いた計四枚のカードを自分のものとします。
 最後に、互いのカードの枚数が多いほうが勝ちです。

 これもまた、いろいろとアレンジしてみてください。


 <C> 筆算訓練

 算数の入門期は、ていねいに段階を踏んでやることです。

 これも書きつづけると長くなりますから、次回にします。

 ところで、足し算というのは、3桁+2桁だろうと何だろうと、1桁+1桁の計算が基準です。それができれば、どんな足し算もできます。

 だから、入門期はほんとに段取りよくやることです。


 [繰り上がりのフレーム]
 1 +△の場合、の補数は何か?
 2 その補数を△から取り、残りを1位の数とする。
 3 とその補数で10なので、ネット1個となり、2位数を1にする。
 
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 つづきは、明日あたりにします。

posted by 柊介(しゅうすけ) at 17:23| Comment(0) | TrackBack(0) | つれづれに | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

34 フレーム(算数篇5‐2:繰り上がり訓練)

 繰り上がりの説明を「まぐまぐ」のほうで加除修正して配信しましたが、このブログの前々回の内容(算数篇5:繰り上がり)との差がだいぶできてしましました。訓練の仕方をていねいに書き加えたからです。

 それで、ちょっと逆戻りになりますが、「まぐまぐ」記事をこちらに三回にわたって転載します。
 今回は、その一回目で、以下に記します。
 
.............................................

 ここ数回は、算数の入門時期で最大の難関といわれる「繰り上がり」「繰り下がり」の問題です。

    7      12
   +5     − 7
  ……    ………
   12       5
 (繰り上がり) (繰り下がり)
 
 
 
 たしかに難関ですが、前回紹介しました「十円玉と一円玉で二桁の数を把握する」ことがすでにできていれば、「繰り上がりのある足し算」のほうは案外とやさしく見えるはずですよ。

 これまで、引き算のほうを先にしていましたが、引き算で発生する繰り下がりは、繰り上がりに慣れてからのほうが効果的ですので、今回は足し算が先です。

 
 上の7+5=12で考えてみましょう(今回も単位は省略します)。
 
 新月が一円玉でした。

 新月新月新月新月新月新月新月    新月新月新月新月新月
        7      +    5 
    
 
 いっしょにすれば、新月新月新月新月新月新月新月新月新月新月新月新月です。
 
 そのうちの10個は十円玉(ネット)1個に相当しましたね。
 
 そうすると、上の一円玉の行列はネット新月新月になります。これを数字であらわせば12になりますね。
 
 ほら、これで理屈は完了です。前の私の記事のとおりに二桁の理解が進んでいれば、子どもにとっても「繰り上がり」はかんたんな話です。
 
 あとは、訓練です。



 足して10以上になる一桁どうしの足し算はそれほど多くはありません。


 <A> まず、ちょうど10になる足し算訓練が必要です。

  1+9、2+8、3+7、4+6、5+5、
  6+4、7+3、8+2、9+1
 
 この訓練は、きわめて重要です。訓練が不十分だと、繰り下がりのある引き算計算のときにつまずいてしまいますよ。

 だから、段階を踏んで着実に訓練することがだいじになります。

 (1) 1円玉と10円玉を使って、二三回ほど訓練します。

 1円玉を15個くらい(いくつでもいいのですが、とにかく10個以上)用意して、皿でも箱でもいいから、そこに入れておきます。
 最初に、親がそこから9個を取ってきて、一列に並べます。「10円玉と交換するには、あといくつあればいいか?」と子どもに質問します。子どもがちゃんと1個だけ取ってきて、列に並べたら、「はい、十円玉に変わった」と言いながら、10円玉を場に置いて、1円玉10個を皿(箱)に戻します。

 9個からはじめるのは、9の次が10だから、あと1個で10円玉になるということに気づきやすいからです。それから、順に8個、7個、6個、5個と下がっていきます。

 4個のときも、まずは同じようにしますが、そのあと、さっきの6個のときをもう一度やらせます。その二つのケースは、順番はちがうけど、組み合わせは同じ、という確認をさせるためです。
 
 次は、「4の相手は6,6の相手は4。それなら、3の相手は?」と推理させます(一般に、この「相手」のほうを「補数」と呼びます)。
 
 それから、3個、2個、1個をやります。

 この(1)の段階は二回か三回で十分です。飽きやすい子どもの場合は、一回で済ませるといいですよ。
 

 (2) 次の段階は、数字を見て即答する、という訓練です。

 小さな紙片一枚一枚に数字を一つずつ1から9まで書きます。そして、親がそのうちの一枚を見せます(数字が子どもにちゃんと見えるように)。子どもは、その数にいくつ足したら10になるかを考えて、その数を答えます。

 この場合も、まずは9から順に下がっていきます。正解がすんなりと出るようになったら、ランダムにします。

 ランダムでも誤答がない状態になったら、次の段階です。

 ただ、断っておきますが、一日目は以上の段階で終了です。飽きさせたら命取りですからね。

 また、次の段階のときも、この(2)だけは、もう一回やります。誤答がなければ、次に進みます。


 (3) トランプ遊び

 できれば三人か四人がいいですね。

 トランプは、10と絵札を取り除き、1から9までだけを使います。
 

 計36枚をよく切って、均等に配ります(三人でも四人でも均等になりますね)。
 手持ちのカードが一番早くなくなった人が勝ち、というゲームです。

 はじめの人が持ち札の中から1枚出します。他の人は、その補数(10になる相手)になるカードをもっていれば、すぐに出します(ハート、スペードなどの種類は問いません)。
 他の人が二人いる場合、二人とも補数をもっていることは大いにありえますから、競うことになります。
 もっていても、わざとパスすることはできますが、さしたる効果はありません。
 他の人がもっていない場合は、はじめの本人が出します。

 補数を早く出した人が次のカードを出します。

 こうやって進み、手持ちが早くなくなればいいのです。

 補数は必ずだれかがもっていますから、スピードが勝負です。


 父母と子でやるのが一番無難です。もちろん、子どもが補数を即答できるようにするのが目的だから、父母ともにムキになってはいけません。ときおり、手持ちのカードから補数を探し出す速さを遅くしたり、子どもに答えを考えさせたりして、できるだけ子ども自身に補数を出させることです。
 
 子どもがスピーディになってきたら、真剣勝負ですね。

 二人しかいない場合は、向かい合った二人の真ん中にもう一人分を裏にして山積みにします。そこから一枚をオモテにして出し、二人が補数を出します。勝ち負けは上と同じです。
 二人とも補数をもっていない場合は、山の中にあるので、そのまま流し、次の一枚をオモテにして出します。最終的には、いまの場合の補数が残りますが、それは単なる残りで処理します。


 トランプを使った算数ゲームはとても有効です。いろいろとアレンジしてやってみるといいですよ。



 <B> 次に、足すと11以上になるケースの訓練です。

 ただ、記事が長くなりそうですから、これ以降は次回にします。
 
 
[ここまでの繰り上がりのフレーム]
 
 この数の補数(足して10になる相手)はいくつか?
 
.....................
 「フレーム」の考えをベースにした「英語のしくみ」の本を書きました。先日、部分的に改訂しました。
 
       (改訂版)
        大学生もわかっていない中学英語
        日英比較「英語のしくみ」入門
        日本語がわかれば、英語はわかる
 
  
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 なお、この本が次のホームページで絶賛されているという知らせを受けました。それを書いている方はよく読み込んでいらっしゃいますね。
  
http://english.shiteyattari.com/002e-kenkyu/
 
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